
仕事のシフト管理やシフト作成は、どの業種でも大変な作業ではないでしょうか。
なかでも、日勤や夜勤などの交代制で、人手不足も問題となっている医療介護業界においては、シフト作成に頭を悩ませている管理者の方も数多くいらっしゃることでしょう。
医療介護の現場では、法律を遵守しながら、夜勤を含むシフト管理をスタッフの希望を汲んで行うことが大切です。
しかし、2交代制や4交代制といったシフトの場合、各スタッフの都合を調整して、誰もが納得のいくシフト管理をすることはかなり難しいでしょう。
今回は、医療介護業界でのシフト作成のコツや注意点についてご紹介します。
シフト表作成でお悩みの方は、ぜひご覧ください。
目次
シフト表作成者のよくある悩み
医療介護の仕事においてシフト作成が難しいといわれるのは、どのような理由があるのでしょうか?
まずは、医療介護業界特有のシフト体制をおさらいし、それに伴い派生する問題点に焦点をあてていきます。
医療介護職の勤務形態とは
医療介護業界では、日勤と夜勤にわかれた2交代制や、日勤と夜勤に早番と遅番を加えた4交代制などのシフトを導入している施設がほとんどです。
2交代制の場合、日勤は朝の9時から夕方18時前後まで、休憩を挟んでおよそ8時間勤務。
夜勤は、夕方17時から翌朝11時前後まで、休憩を挟んでおよそ16時間勤務であることが多いようです。
4交代制の場合は、1日を、「早番」「日勤」「遅番」「夜勤」の4つのシフトにわけています。
早番は朝7時から16時前後までとなり、日勤は朝9時から夕方18時前後まで。
遅番が、午前11時から午後20時前後までとされ、夜勤が夕方17時から翌朝10時前後に設定されていることが多いようです。
どちらのパターンにしても、夜勤や遅番になると勤務時間が長くなり、働く人にとっても大きな負担がかかってしまいます。
休みについては、医療介護の現場では、週休2日制ではなく4週8休を公休としているケースがほとんどです。
夜勤を終えた翌日は公休日となり、1週間に1日以上の休日を設けることが義務付けられています。
シフト作成で悩みがちなポイントとは?
2交代制や4交代制という複雑な勤務形態のため、医療介護現場でのシフト作成に頭を悩ませる管理者は多いといわれています。
具体的にはどのような点が問題となっているのか、整理してみましょう。
シフト作成に手間がかかる
医療介護現場のシフト作成では、法律で定められた公休日の日数や連続勤務日数、夜勤の回数などを考慮のうえ、シフトを組む必要があります。
限られた条件のなかで、必要な数のスタッフを確保しなければならないため、非常に難しい作業だといえるでしょう。
そのため、シフト管理に膨大な時間がかかってしまうケースも少なくないようです。
しかし、管理者がシフト作成に手間をかけすぎると、施設運営に携わるための大切な時間が削られてしまいます。
人手不足が深刻化している医療介護業界では、シフト作成の煩雑さも大きな問題点となっています。
スタッフ全員の希望を叶えにくい
医療介護職のシフト作成では、スタッフの希望を取り入れながら、日勤や夜勤などを偏りなく割り当てることが大切です。
特定のスタッフだけが大きな負担を抱えてしまわないように、公平なシフト作成が求められます。
しかし、日勤や早番の希望者が集中した場合、全員が納得のいくシフトにするのは難しく、不満に感じるスタッフが出てくるケースも多いようです。
ただでさえ人手不足な医療介護の現場では、シフトの偏りに不満を感じたスタッフが辞めていくことも多く、管理者を悩ませる要因ともなっています。
シフト表作成の流れ
複雑で手間がかかるといわれている医療介護現場のシフト管理ですが、基本的な組み立て方がよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
シフト表を作成する前には、まずスタッフ全員に希望の休みや勤務時間帯などについての聞き取りを行いましょう。
その際に、休みの日数制限や、勤務希望日の上限、長期休暇の取得などについて、一定のルールを設けておくことが重要です。
ルールを決めておくことで、管理者の負担も軽減され、スタッフ間での勤務の偏りを防ぐことができます。
決められた期限内でシフトの希望を締め切り、ルールに則ってシフト表を作成することがポイントです。
大まかなシフト表が完成したら、確認を行い、必要であれば細かな部分を調整しましょう。
希望の聞き取りやシフト表の作成、その後の調整などは、それぞれにルールを設けて、スタッフ皆で共有させることで、管理者の負担軽減にも繋がります。
シフト表作成のコツ
医療介護現場でのシフト作成をスムーズに行うためには、いくつかのコツがあります。
どのような点に気をつければよいのでしょうか。
サービスごとに必要となる人員を把握する
医療介護現場でのシフト管理においては、まず必要となる人員を正確に把握することが肝心です。
具体的には、食事や入浴、その他の介護業務などのサービスで、何人スタッフがいればよいのか、リーダーをどのように配置するのかなどを予め決めておくことが必要になります。
しかし、人数が揃っていても、新人スタッフばかりでは現場が回らない可能性があります。
スタッフの能力も考慮のうえ、バランスの取れた人員構成を把握しておきましょう。
また、人員配置を決める際には、法律や行政で定められた基準に達しているかどうかも大切なポイントになります。
重大な過失を招かないように、事前にしっかりとチェックしておきましょう。
法律に従って労働時間や休日数を遵守する
法律や就業規則では、労働時間や休日数、休憩時間などが定められています。
決められた時間や日数を事前に確認して、オーバーしないようにシフト作成を行いましょう。
もし違反が確認された場合は、行政処分となる可能性もあります。
シフト作成は、勤務希望やイベントを優先して行う
シフト表は、スタッフの勤務希望や施設のイベントなど、予め決まっており変更しづらい日から優先して組み立てることをおすすめします。
スタッフが希望休や日勤希望などを出している場合は、最優先でシフトを組むことで、スタッフが働きやすい環境を作ることができます。
また、事前に予定が確定している施設のイベントや会議が行われる日についても、優先して人員配置を行うことで、大きなトラブルを防ぐことができるでしょう。
日勤よりも夜勤優先でシフトを組み立てる
2交代制や4交代制の場合、日勤よりも夜勤のスケジュールを優先してシフト作成を行いましょう。
夜勤を行う場合は、3~4日に一度公休を入れることが望ましいといわれています。
夜勤スタッフへの負担が重くならないように、公休をしっかりと間に挟んだシフト作成を行いましょう。
完璧を目指さず、細やかなコミュニケーションを大切にする
さまざまなルールに則って、各所に配慮したシフト作成を行っても、完璧には仕上がらない可能性があります。
そのため、シフト表を完璧に作ろうと考えすぎないことも大切です。
また、スタッフの希望がどうしても叶えられないときには、それぞれのスタッフとよく話し合うことも必要かもしれません。
普段からスタッフとのコミュニケーションを綿密に行うことを意識しておくとよいでしょう。
シフト表作成する際の注意点
医療介護職のシフト作成では、いくつか注意すべきポイントがあります。
シフト作成のコツと重なる部分もありますが、どのような点に注意すればよいのか、おさらいをしてみましょう。
夜勤や遅番が特定スタッフに偏らないようにする
同じ施設で働くスタッフのなかでも、事情があって夜勤や遅番はできないという人もいるでしょう。
さまざまな希望に配慮したシフトを組むことは、管理者にとってとても大変なことです。
特定のスタッフに夜勤や遅番の勤務が集中してしまう場合は、職員全員での話し合いや新たな解決策を講じる必要があります。
夜勤や遅番の公休日を一定のサイクルで設定する
夜勤や遅番のシフトは、日勤よりも長い時間働かなくてはならず、働く人間にとって大きな負担となる可能性がありあます。
法律には違反しないけれども、体力的に厳しいような勤務体制を続けさせてしまうと、身体を壊す人や、精神的に追い詰められる人もいるようです。
夜勤や遅番のシフトを組み立てる際には、公休日の設定に特に気をつけることが大切です。
職場の人間関係やスキルをシフトに反映させる
医療介護の現場では、チームワークが大切です。
不公平で偏りのあるシフトでは、人間関係もギスギスしてしまい、提供するサービスにも悪影響となる恐れがあります。
シフト作成において、管理者は、職場の人間関係や個人の能力を考慮して行うことに注意しましょう。
人間関係だけに目を向けても、個人の能力だけに目を向けても、どちらの場合も偏りのあるシフトとなってしまいます。
さまざまな観点から総合的に判断することが大切です。
シフト作成後に調整期間を設ける
シフト表を全体に発表した後で、個人的な不満や要望を新たに受けることもあるかと思います。
その場合は、それぞれの相談に応じて、できる限りの調整を行うようにしましょう。
管理者とスタッフとのコミュニケーションがうまくいかないと、職場の雰囲気も悪化してしまいます。
シフト作成後は、一定の調整期間を設けておき、無理のない範囲で個別に対応することを実践してみましょう。
ツールを使ったシフト表作成がおすすめ
管理者としての業務をこなしつつ、シフト管理も行っている方にとっては、シフト表の作成は、とても大変で悩むことの多い作業だと思います。
スタッフ皆が納得するシフト表を作りたいと思いながらも、日常業務の煩雑さから細部までじっくりと検討する時間を取れないこともあるでしょう。
特定のスタッフにばかり夜勤を入れてしまったり、個人の希望がなかなか反映されなかったりするシフト表になった経験はないでしょうか?
そうした状況を打破するためにおすすめしたいのが、シフト管理ツールを導入することです。
最後は、シフト管理ツールにはどのようなメリットがあるのか見ていきたいと思います。
職場ごとのルールを設定できる
シフト管理ツールには、特定の勤務ルールや、職員の情報などを予め設定することができます。
2交代制や4交代制など、複雑な勤務形態に特化した管理ツールもあるため、医療介護の現場でも便利に使うことが可能です。
医療介護業界専用のソフトを使用すれば、法律にまつわる情報もサポートしてくれるため、シフト作成時に大変役に立ちます。
スタッフが希望休を直接申請することもできる
スタッフの希望休を取りまとめる場合、管理者が1人で入力するのは意外と時間がかかる作業です。
シフト管理ツールでは、スタッフ自らがスマートフォンやパソコンから直接希望休を申請できるものもあります。
管理者の作業軽減にも繋がるため、このようなシフト管理ツールを活用することもおすすめです。
チームごとに分けたシフト作成が可能
シフト管理ツールでは、複数のチームに分かれている職場でも、スムーズにシフト作成を行うことが可能です。
施設内でシフトを一元化すると、スタッフの労働や給与の管理にかける時間が短縮できる可能性もあります。
また、複数の拠点を有する施設などでも同様に、スタッフ管理を一緒に行うことができるのがメリットです。
シフト作成はエクセルにお任せ?
今回の記事では医療介護業界におけるシフト作成のコツや注意点について紹介しました。
医療介護業界で働く方はシフトを作成する際の注意点について確認しておきましょう。
またシフト作成をする方はエクセルを利用する方も多いでしょう。
下の記事ではシフト作成をエクセルで行うメリットやポイントについて詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
シフト作成はエクセルにお任せ!おすすめ理由と作成のポイント
シフト管理ツールを導入し効率よくシフト管理を行おう
いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、医療介護現場でのシフト作成のコツや注意点がおわかりいただけたかと思います。
シフト管理にお悩みの方は、便利なシフト管理ツールの導入をぜひご検討ください。
管理者やスタッフが気持ちよく働くための、画期的な手助けとなるかもしれませんよ。
医療介護業界でシフト作成・管理に悩んでいる方は、医療・介護向けの便利な勤怠管理・シフト管理ツールランキングをご参照ください。


